世界観が圧巻!なおすすめサブカル作品
おすすめサブカルチャー
何かを「つくる」というお仕事をされている皆様。 皆様は「生み出す」時にどんなことを気にされますか?
筆者は「世界観」を結構大事にしています。 伝えたい空気感とでも言いましょうか?
筆者がサブカル好きだから余計にそういう拘りを持つのかもしれませんが、 WEBサイトひとつとっても躍動感を与えたいのか、和気藹々感を伝えたいのかで 使う色やレイアウトなんかも結構変わって来ますしね。
で、そうやって世界観にこだわりがある筆者が、その世界観において度肝を抜かれた 作品というのが色々あります。 これまた趣味に突っ走る傾向が多分にありはするのですが、いつか、いずれ、こんな 完成された世界観を表現できたらと思わずにはいられません。
そして、同じクリエイターの皆さんにこの愛を押し付けずにはいられません。 どうか、熨斗つけて返さず、楽しんで頂けることを切に願いつつ。
メイドインアビス

この作品、ご存知の方はどのくらいおられるでしょうか・・・・?
ぱっと見、なんか萌え系に見えなくもない可愛らしい幼女と男の子。
流行りの萌え系アニメだと思ったあなたは甘い、甘いですぞ。
こちらは、つくしあきひとさんという方が描かれている冒険ファンタジー。
ですが、ただの冒険モノでもファンタジーものでもありません。 通常、冒険ファンタジーって広い広い世界をかけ巡って行くことが多いと思うんですが、この漫画はなんと逆。
穴にひたすら潜っていく、という今まで聞いたことのない冒険の仕方をします。 この穴が漫画のタイトルにもなっている「アビス」なんですね。
この誰も底まで行ったことのないでかい穴を踏破するために、少女リコが機械仕掛けの少年レグと一緒に奈落の世界に挑んでゆく物語、それがメイドインアビスです。
さて、ではそんなメイドインアビスの世界観について順番に解説して行きたいと思います。
アビス世界の設定の緻密さ

(https://ej-anime-t.jp/shinjuku/miabyss_movie2020/)
まず、このものすごい一枚絵は何かと言いますと、アビスの地図、でございます。
設定でいいますと、このアビスは直径は1000メートルで、深さは不明の大穴という設定です。
そして、今まで潜って来た冒険家(漫画の中では探窟家と呼ばれます)たちからの情報をつなぎ合わせて描かれたのがこの奈落見取り図と呼ばれる巨大な地図なのです。
すごくないですか?これ。
メタい話で恐縮ですが、こんなものが一人のおっちゃんの想像力から生まれてくるんですよ。
元々この方、コナミでゲームのデザインを手掛けられていたということもあり、そのデッサン力には定評がある方なんですが、それにしたってこの地図の作り込みと設定の細かさは凄すぎる。
地図をよく見るとなんとなくわかるかもしれませんが、この奈落は地層のように、ある程度の深度に達すると急に景色がガラリと変わるという作りになっています。
景色が変われば生き物も当然変わってくるわけで、奈落は潜れば潜るほど、環境はどんどん人の住めるものからかけ離れていき、住んでいる生物は一筋縄ではいかないものが登場します。
これって、我々の住む世界とも似てますよね。 自然は素晴らしいものですが、時として大いに人間を拒みます。 南極や北極を旅した探検家は何人も生命を落としていますし、いまだにエベレストなどの高い山々に挑んだ人々もやはり何人も山で命を落とし、場所によっては遺体も回収できず、そのまま山の苗床となります。 人が容易に手が届かない深海には独自の進化を遂げた、なんとも見た目はグロテスクな、しかし見事に環境に適応した逞しい生物がいたり。こういう環境では人間は水圧だけで簡単にひしゃげて砕かれてしまうとも言いますよね。
メイドインアビスは確かにファンタジーなのですが、こういう自然の厳しさを徹底的に妥協なく描きます。
以前にインタビューで拝見したことがあるのですが、つくし先生はこの漫画を書くにあたって、登山から着想を得ていると仰っていました。 ハイキングなら楽しいかもしれませんが、難しい山を登る登山は信じられないほど過酷ですよね。

例えば、この逆さ森。
何もかもが逆さまになっているという設定です。 植物だけではなく、なんと水まで逆さま。上の写真の右側に何か湯気みたいなものが描かれてますが実はこれは上に向かって流れる水なわけです。
主人公のリコはここももちろん踏破して行きますが、彼女自体は勇敢で柔軟な精神を持っているものの肉体はただの女の子。 彼女一人では当然ながら、この厳しい環境相手では手も足も出ません。
なので、奈落の底から地上まで一人で上がってきたという機械仕掛けの少年レグをパートナーに2人でこの冒険に挑みます。
レグはある意味、この奈落におけるチートキャラクターみたいな部分があり、様々な奈落のルールが彼にだけは適用されないだけでなく、機械故にある種不死身であることと驚異的な身体能力があるので過酷な奈落も彼の手にかかればどんどん突破していくことができます。
・・・とこれだけだとレグがただ凄すぎる存在になってしまうので補足しておくと、それほどの力を持つレグは精神は非常に幼く、怖がりです。
つまりメンタルが邪魔してなかなかその自分のポテンシャルを活かしきれません。
それをリコが司令塔となってうまくコントロールしていくというのがこの2人の関係の面白さなんですよね。
独自の文化が持つ説得力のある世界観

イメージボードより引用
さて、このアビス。 これだけの規模で展開されており、生き物も多種多様。
となればそこには必ず文化が生じます。
主人公のリコたちは冒険を進める中で、この奈落で生活を営むものたちに出会うわけなのですが、この奈落の住民の生活がこれまた緻密なんです!
文字や言語が細かく存在している

奈落にはなんと奈落文字というこの世界ならでは文字があります。公式からは物語に関係ある部分しか拾えませんが、奈落文字で書いてあるものはちゃんと解読できるようになっているという恐るべき緻密さ。その緻密さに魅せられたファンによって奈落文字は解読お助けサイトや翻訳サイトもいくつも存在します。
また、奈落の集落には奈落独自のルールがあり、これがさらに独特です。ただ、独特なんですがこの奈落という環境下を考えるとなんだか納得できてしまうような説得力があるんですね。
きっとそれもこの世界を隅々まで隙なく設定がされているがゆえのもの。 私はこの作品を読んでいて、設定の隙のなさこそがここまでの世界観を生み出すものなのかと学ばせていただきました。
クリエイターほど読んで触れた方がいい作品 メイドインアビス
この作品はアニメにもなっていますし、今年の冬には映画にもなりました。
昨今話題の「鬼滅の刃」ほど表に出ているわけではありませんが、着実な人気を誇っています。
いち視聴者としてただただ、楽しむのもとってもいいのですが、ものづくりをしている身からすると、この細かさは本当に知れば知るほど脱帽と言いますか。
やはり神は細部に宿るのだなぁと思わずにはいられません。
アニメ化する際に、きっとそれを制作陣もひしひしと感じたからなのか、メイドインアビスはアニメの出来も本当に素晴らしいです。 一切の妥協なく作ってくださり、おかげでこのものすごい世界観を見事に表現された素晴らしいアニメーションになりました。
そして、この妥協のなさは今年の映画にもしっかり引き継がれています。
本当に、見れば見るほど圧巻でした。 筆者、アニメのDVDなんて本当に中学生・高校生のとき以来、久しぶりに購入しましたよ。
それくらい繰り返しみたくなる作品といえば伝わるでしょうか。
筆者の文章から迸る愛はやや押し付けがましいことを重々理解しているので、そこは無視して頂いていいのですが、兎にも角にも是非、メイドインアビスは観ていただきたい!!