繊細さんとかくれ繊細さん vol,2 〜かくれ繊細さんってなに?〜

井上 美穂
心のおはなし

前回「繊細さん」のことについてざっくりとではありますがご紹介させていただきました。いかがでしょうか?

当てはまった方はいらっしゃいましたでしょうか?

ちなみに前回ご紹介させて頂きましたDOES(ダズ)という指標ですが、この繊細さんを世界で初めて定義づけたエレイン・アーロン博士はこの4つの指標に1つでも全く当てはまらない方は「繊細さんではない」と判断できると仰っているので、気になる方は「全部自分に当てはまるか?」という視点でみていただくと判断しやすいかと思います。

念の為、DOESおさらいしておきたいと思います。

Depth of processing(処理の深さ)

HSPは感覚データを通常よりはるかに深く、かつ徹底的に処理しているが、それは神経システムにおける生物学的な差異によるものである。

Overstimulated(刺激を受けやすい)

感覚的に敏感である。五感や、人の感情や雰囲気から自身の内部に入り込まれ受ける刺激が非HSPに比べ強い。何に対して敏感かは個人差がある。心身ともに疲れやすく、不機嫌や体調不良などにつながりやすい。嫌なことだけでなく、楽しいことでも刺激が多すぎると疲労になる。

Emotional reactivity and high Empathy(感情的反応性・高度な共感性)共感力が高く感情移入しやすい。「ミラーニューロン」の働きが活発であることが示唆されている

Sensitivity to Subtle stimuli(些細な刺激に対する感受性)人や環境における小さな変化や、細かい意図に気づきやすい。

wikipediaより引用https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3


さて、ではおさらいも済んだので、いよいよ今回の本題である「かくれ繊細さん」についてご紹介してまいりたいと思います。

かくれ繊細さんとは?

かくれ繊細さんというのは、「一見繊細さんっぽくないけど、実は繊細さんに当てはまる人々」を指します。

これは「繊細さん」というタイプに対する世間的なイメージがそもそもありまして、繊細さんは

  • 儚い雰囲気を持っている
  • あまりコミュニケーションが得意ではない
  • すぐに体調を崩す
  • 人と接しないでもくもく作業が得意

こんなイメージがどうもあるようです。

この世間イメージがあったのでそれが 抑うつ症状が慢性化してきた人が「もしや私繊細さんでは?」と思い当たるきっかけにも なっているのですが、かくれ繊細さんというのはこのリストには全く当てはまらないタイプの 人が多いです。

  • バリバリ仕事を頑張っており、リーダーシップもある
  • 人とお話するのが好き
  • 病弱なイメージはないけど、気分ムラはある印象
  • 接客業をしている

例えばこんな感じ。

先の印象とは全くの真逆ですよね。でも、この人たちは間違いなく繊細さんなんです。

これは前回の記事にも少し書かせて頂いた通り、「繊細さん」が性格と混同されているがゆえの 認識誤りでもあります。

「繊細さん」とは「気質」のことを指します。

ちなみに先のイメージの「繊細さん」はもともと性格的にも内向的なタイプの方でして、 この方々はもともとエネルギーが少なめの方なので職業的な選択肢は狭くなりはしますが 性格と気質にズレが少ないタイプとも言えます。

そのため、非繊細さんと自分とのギャップには苦しみますが自分自身の中ではギャップが 少ないため、自分自身を受け入れてしまえばすんなり馴染みやすいようです。

ここまでくるとわかると思いますが、「かくれ繊細さん」はエネルギー高めのタイプにも関わらず、気質が「繊細さん」なので性格と気質に大きなズレが生じます。

そのため、「繊細さん」という確信がいまいち持てず悩みをいつまでも持ち越してしまいがちです。

かくれ繊細さんが疑いやすいもの

そして、そんな性格と気質の落差の激しい「かくれ繊細さん」はそんな自分の性質に悩み 人知れず原因を探っていることが多いです。


主に「かくれ繊細さん」が疑いやすいものが以下の通り。

  • 発達障害
  • 躁鬱病
  • アダルトチルドレン

ただ、どれもいい線までは行くものの、何か決定打にならない感覚や、「これは明らかに違う」という指標があったりして結局わからないままになってしまいます。

実は筆者もいわゆるこの「かくれ繊細さん」に当てはまる部分が多々ありました。

そして、実は筆者はこの「かくれ繊細さん」の診断を受けたことがあり、 ほぼ間違いなく「かくれ繊細さん」だろうということで、こうして当事者のひとりとして 発信をさせて頂いております。

筆者の場合、「繊細さん」の答えにはずいぶん前に辿り着いてはいたものの、「繊細さん」の 発信してくださる解決策が解決策にならないことが実は多く、そこが悩みの種でした。

なかでも、よく頭を抱えていたのが「お仕事」について。

当時読んだ記事や本には「繊細さん」はとにかく軌道に乗れば精度の高い仕事ができるということを全面に 押し出されていて、マルチタスクではなく単調作業の繰り返しに類するものが向いていると書かれておりました。

そして、適職の中には「公務員」「医療事務」など比較的カチッとした かためのお仕事がずらり。

・・・おそらく合う人もたくさんいらっしゃるのでしょうけれども、筆者的にはですね、これらのお仕事は苦手分野TOP3に入るレベルの「あわない仕事」でして。 (しかも食わず嫌いではなく、実際にやってみて挫折した経験あり)

これが適職になってしまうならそもそも自分は「繊細さん」ですらないんじゃないか、と 疑ってしまうほどでした。

そして時を経て、この「かくれ繊細さん」という解答でようやく「あ、これだ」とほっと したという次第でした。

こういう方も実は案外多いのではないかな?と密かに思っております。

もし、そういう方にこの記事が少しでもお役に立てたら何よりです。

なお、筆者は当事者であって研究者でないということは前回もお伝えしておりましたが この「かくれ繊細さん」も同様でして、さらに詳しく知りたい方は下記の著作を 是非読んでみてください。

特に「かくれ繊細さん」はほとんど書籍がないので闇雲に情報を探すよりは こちらをお読みになることをおすすめいたします。