繊細さんとかくれ繊細さん vol,1 〜繊細さんってなに?〜

井上 美穂
心のおはなし

さて、今日はちょっとトレンドにも絡んだ心理のおはなし。

皆さんは最近、本屋さんに行かれましたか?

今、本屋さんに行くと「繊細さん」と言うタイトルのコーナーができているお店が多いです。

この「繊細さん」ってなんでしょう?

人の名前?
いえいえ、違います。

これは、人のタイプを示した言葉。

正しくは「Highly Sensity Person」 略して「HSP」と呼称します。

この言葉やHSPと言うタイプの人については、実の所、今に始まったものではなく もっともっと前から登場していたのですが、最近、ロンブーの淳さんがご自身もHSPである HSPカウンセラーの武田由紀さんとラジオで対談された際になんと淳さんご本人もHSPと言うことが わかり、HSPについて発信を始められたことをきっかけとして急にトレンドに躍り出たと言う次第です。

こうしてトレンドになったことと、結構HSPの定義ってちゃんと知らないとあやふやなところがあるので 「私もHSPかも!」と言う人が増えたようです。

特にストレスでお疲れになっている方や、弱気になっている方が「もしや自分はHSPなのでは?」と 勘違いしてしまいがち。

ところが、HSPとそれ以外の方と言うのは実は明確な違いがあります。

それを今回は自称でもなんでもなく、本当にHSP=繊細さんである筆者が自身の体験なども踏まえながら解説をして行きたいと思います。

まず、「繊細さん」って何なの?

繊細さんについての、wikipedia先生からの記述は以下の通り。

ハイリー・センシティブ・パーソン: Highly sensitive person, HSP)とは、高度な感覚処理感受性を、気質生得的な特性)として持つとされる人のこと[1][2]発達障害とは異なり、性格や気質の一種なので医学的根拠は存在しない。

wikipediaより引用

ここまで読んで頂くとなんとなくお分かりかもしれませんが、「繊細さん」とは気質、を現したものなのですね。

つまり、繊細さんとは「とっても敏感な気質の持ち主」と言うことになります。

このふわっとした表現こそがきっと色んな人を戸惑わせているのでしょう。
そもそも「気質」というのがふわっとしておる。

wikipedia先生によると「気質」とは

気質(きしつ、temperament)とは、人間哺乳類などの動物の集団が先天的にもっている刺激などに反応する行動特性である。性格と同一視されやすいが、性格は気質から作られる各個体の行動や意欲の傾向である。なお、この気質はヒポクラテス古代ギリシア医学における四体液説に由来する。

wikipediaより引用

えーと。ごめんなさい。・・・筆者は最後のヒポクラテスのくだりで一回意識が遠くなりました。

性格のことじゃねーぞ、っつーのはわかりましたね。

ここで大事なポイントは最初の2行の後半部分。

「先天的にもっている刺激などに反応する行動特性」ここです。

つまり、「繊細さん」とは先天性です。そして、刺激に対してどう反応するのか?という行動特性であると。
極端な例えで言うと、怪我をしたときにどれくらい「痛み」を感じるか?みたいなことです。

ちょっとした聞き齧りなので間違っていたら申し訳ないのですが、人類が大昔、集落を作って獣を狩っていたような時代。

集団で行動したときに奇襲などを受けて壊滅しないために、危機管理力に長けた者が必要でした。「繊細さん」と言うのはこの危機管理を察知するために進化した気質を持つ人を指すようです。

この気質はその集団を守るために主に発揮されてきましたが、文明が進化した現代ではそこまで特別必要とされる場面が少なくなってきたために、その気質を持った人がその能力を持て余すようになって、現代においては悩みに変化してしまったとも言われているようです。

ちなみに当ブログは筆者は当事者ではありますが研究者ではないので解説はかなりライトにお送りしております。もっと詳しく知りたいと言う方は以下の著作をぜひ参考にしてみてください。

そもそもどういう気質なのか?

危機管理能力が発達したものが「繊細さん」の気質であることまではわかった。

じゃあ、具体的にどう言う気質なのか?というと。

これは研究が進んで、DOES(ダズ)という指標で今は表されています。(以下、wikipediaより引用)

  • Depth of processing(処理の深さ)

HSPは感覚データを通常よりはるかに深く、かつ徹底的に処理しているが、それは神経システムにおける生物学的な差異によるものである[22]

  • Overstimulated(刺激を受けやすい)

感覚的に敏感である。五感や、人の感情や雰囲気から自身の内部に入り込まれ受ける刺激が非HSPに比べ強い。何に対して敏感かは個人差がある。心身ともに疲れやすく、不機嫌や体調不良などにつながりやすい。嫌なことだけでなく、楽しいことでも刺激が多すぎると疲労になる。

  • Emotional reactivity and high Empathy[23](感情的反応性・高度な共感性)

共感力が高く感情移入しやすい。「ミラーニューロン」の働きが活発であることが示唆されている[24]

  • Sensitivity to Subtle stimuli(些細な刺激に対する感受性)

人や環境における小さな変化や、細かい意図に気づきやすい。

ちょっと小難しい単語が並んでいるのでひとつひとつ解説して参りますね。

処理の深さ

これはある出来事に遭遇した際にその出来事から受信する情報の量が多い、と言うのがこの処理の深さに繋がってきます。

1冊の本を読んで要約することと、その分野の本10冊を読んで要約するのとでは処理にかかる時間も違ってきますが、その分その分野についての理解はグッと深まりますよね?

「繊細さん」は外部からやってくる刺激が、普通の人が本1冊分だったとしたら本4−5冊、人によっては10冊分やってきたりするので、いちいち処理に時間がかかります。自動的に入ってくるのでそもそも何を取捨選択したらいいかわからなくなることもしばしば。結果、パッとお話を振られた瞬間に「なぜそんなに悩むのか・・・?」と思われるほど熟考してしまうと言う状況が起きてしまう・・・と言う、コミュニケーションギャップが生じがちです。

刺激を受けやすい

これはわかりやすいと思います。

柔軟剤の匂いがだめで柔軟剤で洗ったセーターは着られないとか、カフェインが苦手でコーヒーが飲めない、とか人によって五感のこだわりって独特ですよね。

「繊細さん」はこの五感のこだわりがものすごく強いです。こだわりと言うと語弊がありますが、他の人からすると感じてもいない違和感が本人にとっては耐えられないレベルと言うのが多々あります。これも気質ゆえに殊更強く感じてしまうと言うのが悩みどころ。

感情的反応性・高度な共感性

「繊細さん」は他人との境界線が薄いと言われる所以がおそらくここなのだと思います。

人の話を聞いているうちに勝手にその話に引きずられていっちゃうんですよね。これももう勝手に。これも受信量の問題なのだと思うのですが、他者の感情が雪崩れ込んできます。それももうわーっと。本人が見せたい感情もそうなら、困ったことに一部ご本人が隠しているはずの感情まで来ます。

人混みが疲れやすいとか、パーティ会場やいろんな人と関わるとHSPが疲れ果てて引きこもってしまうのは多分ここのせい。

その場ではうまく線引きができません。感情の海に溺れてしまいます。なので、ひとりに戻って、自分を取り戻してからこれは自分、これは他人・・・と感情整理をして、取捨選択して自分を取り戻す作業が必ず必要になります。

些細な刺激に対する感受性

これが先ほどからたびたび登場してくる、『受信量が多い』というやつです。

説明が難しいのですが『空気感』を通じていっぱい情報が入ってくる・・と言うのが一番表現としては近いでしょうか。昔、映画に「サトラレ」って言うのがありましたよね。自分の感じたことが人に伝わってしまう青年のお話。あの受信側に近いニュアンスです。といっても「サトラレ」ほど明確な感じではなく、あくまで空気感。この場が気持ち悪いと思っている人がいるな、みたいな感じです。

ちなみにHSPが気遣い上手と言われる所以はおそらくここで、その空気感によって「気持ち悪いと思ってるんだな」といち早く気づくのでその原因を無意識に探し始めるからだろうと思います。

結構、奥が深い繊細さん

さて、ここまでちょっと気質ごとに筆者の体験も含めて細かく解説して来ましたがいかがでしたでしょうか?

人は、心が弱っていると刺激が強く感じてしまうと言う側面があるので、そうい言う時は悩んでいることも相まって「繊細さんかも?」と感じやすいようです。

ただ、繊細さんは前述のように気質なので、むちゃくちゃ元気な時も、むちゃくちゃ不調な時も総じてこの感受性のレベルは変わらないと言うのがおそらくひとつのバロメーターでもあると思います。

さてさて、繊細さんについてはここまでご説明できたので、次はいよいよ「?」の多い「かくれ繊細さん」についても筆者のわかる限りご説明して行きたいと思います。