受注後のヒアリング実施のススメ
制作のおはなし
昨今、副業としていきなりフリーランスでデザインをされる方が多くなってまいりましたね。
自宅でPCひとつでできちゃうのでデザインは他の作業と離れてても連携しやすいぶん副業としてもとてもお勧めです。
最近はフリーランスでお仕事をされるかたを対象としたスクールなども増えてきたので そういうスクールで教わっている方はヒアリングがいかに大切かを学ばれていると思いますが 技術しか教えていないところも一部あるようですのでそういう方の大やけど防止になればと思って 本記事を書かせていただきます。
クリエイティブを適切に依頼できるクライアントさんは少ない
まず、非常に残念な部分からお伝えせねばなりません。
あなたが受注側だったとして、発注者が適切に制作物の依頼を寄越してくれることは実は稀です。
このサービスのチラシを作って欲しいの
このサービスはこんな感じなの
デザインはわかんないから任せるよ
こんな依頼が飛んでくることが多いです。
そして、筆者の経験上、「この任せるよ」を真に受けて「よっしゃあー」と気合を入れて作って 修正の嵐を食らって大やけど・・・というのはパターンとしては鉄板かと思っております。
もし、あなたがサイヤ人であれば毎回死ぬたびにレベルアップできるのでこのパターンを3回も繰り返せば果てはスーパーサイヤ人に目覚めることも可能かもしれませんが、凡人がこれを繰り返すとかなりの確率で自信を喪失し、最悪の場合はデザインが嫌になってしまいます。
そのような悲劇はなるべく起こしてほしくないですし、それによってせっかく持ってる才能まで潰してしまっては業界的にも損失です。
というわけで、それを避けるためにはこちらから積極的に情報を引き出して行かねばなりません。
ちなみに筆者も最初はわからなかったのですが、上記のように仰るクライアントさんは実はクリエイティブを作る際に必要な説明を何ひとつしてくれておりません。
では、一体何が足りないのか?これを一緒に考えてまいりましょう。
不足情報その1:ターゲットが不明

そのサービスは誰がターゲットなのかが説明されておりませんよね。
これでは適切な広告を作成するのは難しいです。
主なターゲットは男性なのか、女性なのか。
男女混ざるのであればビジネスマン対象なのか、ファミリー対象なのか。
年齢層は?忙しい人向けなのか?子供がいる人向けなのか?
などなど。
サクッと考えただけでもこれだけ出てきます。
ここで1点お伝えしておくと、このターゲットですが商品の説明をしただけで 伝わってるじゃろうと勘違いしてしまうクライアントさんもたまにいらっしゃいますので ここで齟齬を生まないためにもターゲットの情報共有がなければあえてこちらから質問しにいくことをお勧めいたします。
認知は広ければ広いほどいいからターゲットなんて決めなくてもいいんじゃないかという クライアントさんも稀におられますが、これは誰にも刺さらない広告が出来上がるだけなので こんなふうに言われるようであればターゲット決めから一緒にお手伝いした方がいいでしょう。
不足情報その2:販売戦略が不明

そのサービスはどうやって売るのでしょうか?
オンラインショップがあるのか?媒体もこれから作るのか?そしてチラシはどこに置くのか?
これを聞いておかないとそのチラシからどこに誘導したいかで使用するデザインが変わってきてしまいます。
チラシを見たお客様はWEBにアクセスなのか、電話なのか、はたまたメールを打たねばならぬのか?
また、置きチラシをする場所がどこかも大切です。量販店に置くのか、公民館に置くのか、ポスティングするのかでもやはりデザインが変わってきます。
そして、稀にあります。オンライン販売なのにチラシに進んでしまうという方。
まずチラシである意図が明確にあるならいいのです。例えばスクールで生徒さがすでにおり、その生徒さんに向けたオンラインプログラムの提供であるというならこれは意味があります。
そうではなく、まずチラシから始めたいという場合は、一度聞くのもありです。
「いやいや、それならまずはラインのバナーじゃないですか?」とか「なら同時にオンライン進めないと」という場合もあるのでお客様のサービスの全容をこちらも知りにいくことで今取り急ぎ何が最適なのかを一緒に洗い出すことができます。
そして、その過程を一緒に踏むことでお客様との信頼関係を築くことにも繋がってくるので相手のタイプを見極めつつではありますが、ここはあまり恐れることなく質問できるといいなと思います。
ヒアリングはこちらから提案しにいくくらいがいい

クライアントさんから必要なものはお渡しするので、と言われていてもこのように肝心な部分がない場合というのは往々にしてあります。
また、クライアントさんもデザインに関してはよくわからない、という部分には嘘はないので、そこをあれこれ聞かれても「よくわかんないよー!」となるだけで話が進まないというケースもあります。 ですので、何をどう聞けば情報を引き出すことができるのか?という工夫がここでは必要。
会社でディレクターさんがいればディレクターさんがやってくださる部分ではありますが、仮に 個人で引き受けたりするとここも全部聞かなければならなくなるため、ヒアリングスキルというのは デザイナーさんはみんな身につけていて損はないのかな?と最近筆者は思っています。
というか、筆者自身がヒアリングをろくにせずに着手して何度も何度も火傷をしてきて、こんなしょうもない準備不足は2度とするまい、と心に誓っているからこそ、こうしてこれから船出をしようという皆様にはお伝えさせていただきたいと思う次第です。
物事は何度も転んで覚えて上手になるものとはいえど、要らぬ怪我はしないに越したことはない。
しくじり先生ではありませんが、要らぬ怪我を避けて皆様が楽しいデザイナーライフをスタートしてくださることを応援しております!