クライアント vs 制作者 の溝をなくしたい件

井上 美穂
制作のおはなし

クリエイティブ作業に従事していると必ず起きる問題があります。

それは、クライアント様の注文があまりにもご無体だったりして、制作者側がびっくりして説得する・・・というもの。

これは非常に心苦しい、申し上げにくい実情ですがクリエイティブ業界には、「モンスタークライアント」という言葉があります。

おばあちゃんだと思ってたら、あなたは狼さんだったのですか・・・!?

みたいな感じで

お客さんだと思ってたら、あなたはモンスターだったのですか・・・!?

というパターンでございます。

で、この「モンスタークライアント」なんですが、本当に悪徳である場合も当然あります。

が。

実際は!少なくともクリエイティブ業界に置いては。

おそらく大半が「無知」ゆえの過ちです。

これって実はとってももったいないことでして。

依頼者は勝手に期待値を見積りすぎて無茶を吹っかけて、制作者にバッサリ断られてしまう。

依頼のしかた如何では、「モンスタークライアント認定」されてしまい、緩やかに依頼を完了された人もいらっしゃるのではないでしょうか?

そして、制作者は依頼が来た以上、頑張って作るわけですがあまりの依頼が来てしまうと当然応えられないです。そもそもその報酬に対して、その要求は無茶苦茶よ?という場合、かなりあります。だから、クライアントさんからすると急に制作者が冷たくなったと思われているかもしれませんが、実はそうではなく、当然の異議申し立てを行なっているだけというのがほとんどだと思われます・・・。

・・・ところでみなさん、ネットのことってどこまで理解されておりますか?

そして、同時にデザインのことってどこまで理解されておりますでしょうか?

検索したり、利用する立場ではよく触れるけど、仕組みやどこにどうコストかかるか、なんて

ぶっちゃけよくわからないんじゃないでしょうか?

だからこそ、お金を払ってプロに依頼されるんですもんね?

そりゃそうです。

その感覚で依頼すると、絶対この問題にぶち当たります。

多分、制作者が何度も何度も頭を抱えてしまい、「もうこの人の依頼受けたくないわ」って思われる原因になるかもしれません。

つまりね、何が言いたいかと言うと。

これは、双方に歩み寄りの努力が必要なんですよ。

クライアント側はわからないならわからないことをきちんと説明するべきですし、そういう場合こそ丁寧に打ち合わせの時間をとって、制作者側からレクチャーも受けつつ、依頼をまとめる必要があります。

で、これは自戒も込めて言いますが、制作者もクライアントの理解不足を補うお手伝いは必要かと思います。

場合によってはクライアントさんのやりたいことを風呂敷広げて出して頂き、一緒にプロジェクトを可視化するところからお手伝いした方がスムーズに進む案件もたくさんあると思います。

で。ここで言っておきたいこと、否、言わねばならぬことがあります。

わからないことを教える手間はコストです。

つまり、WEBのレクチャーを受ける分は当然金額に反映されるべきなのでございます。

皆さん、スクールに通えばお金をお支払いされると思います。

単発セミナーだって払いますよね?同じことです。

つまり、全然初心者わからないよ〜、丸投げでやって〜、と言うと高くなるのは必然だと思ってください。

どう見積もるかは制作者のセンスでもあるので必ずみんなが計上してくるわけではないと思いますが少なくともコストがそこにかかっているのはお忘れなきよう。

さて、ここまでお話が進んできたので次はいよいよ「修正」という部分について触れていきます。

「修正」を繰り返して制作者にキレられた経験をお持ちのクライアント様は是非ご参考になさってくださいませ。多分、あなたがキレられた原因がこのあと明らかになります。

それは修正なのか?心変わりなのか?

頭の中でふわっとしたものはあるけど、いまいちうまく伝えられない。

で、とりあえずデザインして貰い、デザイナーがデザインしたものをみた瞬間に「これは?あれは?」とパターン出しを要求してくるクライアントさんは多いです。

デザイナー側は「うわっ、来たな」と思いつつも、ある程度はクライアントのイメージ出しに付き合ってくれる場合もあると思います。

イメージってなかなか言葉にはできない部分多いですからね、ある程度はしゃあない。

が。

これもやりすぎは良くない。

中でも一番困るのは、イメージ出しをお手伝いするつもりで何パターンか用意して絞り込んで微修正もある程度完了した時点で「こういうのも見たい」とか言ってくる場合。

普通に金額追加を要求されると思います。

か、苦言を言われます。

これはもはや修正とは呼びませぬ。

ぶっちゃけ貴方様の心変わりでございます。

わかりますよ。急に降りてきたんですよね?「これや!求めていたものは!」というものが。

で、まだ完了してないから突っ込んだんですよね?わかりますよ、お気持ちは。

しかし。

ここまで何度か修正したし、パターンも見せて貰った。

それだけ相手に工数って発生しているんですよ。

相手からしたらこれで最終調整と思って色々文字詰め見直したりして納品の準備も進めてくれてたかもしれません。

つまり、本来あと少しで終わるはずだった仕事が貴方のその閃きでひっくり返るわけです。

この場合、図らずもデザイナーさんは被害者になってしまう。

その意識は必要だと思います。その上でリスクをとって依頼するか飲み込むかを考えましょう。

「ごめん。実はここまで進んでしまったけど、どうしてもこっちに変えて欲しいんだ。ほとんど一からのデザインになってしまうからこれだけの追加費用は出そうと思うのでこれでもう一度やり直してもらえないか?」

(追加費用無理であれば謝った方がいいです。嫌だけどあるあるなのでここで申し訳なさを持ってくれる方なら呑んでくださる方もおられます)

そう言って嫌な顔するデザイナーさんはほとんどいないと思います。

多分、この意識ないままに

「ありがとうございます。実はこういうパターンも見てみたいので修正お願いできますか?」

とか言っちゃうから多分嫌われたり、文句言われるんですな。

それは修正じゃないじゃろうがーー!! ってきっとデザイナーさんは家で暴れているはず。

これほんとに多いのです。修正っていう言葉をこっちが使うから合わせてくれてる部分もあるんだと思うんですけどね。

あと、デザイン依頼して置いて、後から

「別の人がやったこのデザインに差し替えしてくれない?」

「ごめん、もう予算ないから素材だけくれ。こっちでワードでやるわ」

みたいなことは絶対やめましょう。

(といいつつ、ちょいちょいあるんだな、これが・・・)

これはデザイナーさんのデザインを否定したも同じなので無茶苦茶失礼です。

(後者はちょっと違うけどこれも非常に良くない。世界観はぶち壊しになるので

 せっかくデザインしたものを台無しにするのとほぼ一緒です。この可能性があるなら最初に言っておきましょう。その前提があれば作り込み方が違ってきます)

信頼関係木っ端微塵になります。

どうしてもやるなら丁寧に事情を説明して、先に謝ることです。

プロジェクトはやるやらない含め可能な限り、全出ししておくこと

しばしば、WEBデザインとは家づくりに例えられます。

この感覚は概ね正しいです。

皆さん、一戸建てを注文して、ほとんど完成した頃に、

「ごめん、やっぱオフィスにしたいからビルにしてくんない?」

って言いませんよね?

しかし、悲しいことにWEBではこう言うのがよく起きます。

これはなぜ起きるのでしょうか?

チッチッチッチッチ・・・・・・Now Thinking・・・・・

皆さん、わかりましたか?

はい。もう答えを言ってしまいましょう。

家だと見えてるからよくわかる。

WEBは見えないからよくわかんない。

ぶっちゃけ、これに尽きるのではないでしょうか?

依頼側からするとそりゃそうだと思います。

そして、依頼者さんはWEBを魔法かなんかと勘違いされていることがとても多いです。

「やっぱ一軒家やめてビルにするわ。魔法ですぐできるっしょ?」

過程が見えないから魔法みたいに見えるんだろうとは思いますが、実のところ、オーダーメイドであればあるほど水面下ではもっと泥臭いことをしています。

その水面下の工事をどうにかくぐり抜けてようやく完成が見えて来た頃に、その岩盤からひっくり返すような話が飛び出してしまうと、無理だと言わざるを得ないことも多々あります。

だってほら、一軒家とビルって骨組みから違うでしょ?

この骨組み作る部分は少なくとも、家もWEBも一緒だと思っていた方がいいです。

もし、いずれはビルにしたいのならその計画を先に言ってしまった方がいいです。

今はまだ小さいお店だから一軒家でいいんだけど、いずれはビルにしたい。

そう言ってくれれば、いずれ来るリニューアルにむけて制作サイドも準備ができますし、それを見越した提案ができます。そして、それは仕上がったもののクオリティと満足度に如実に現れて来ます。

筆者の所感ですが、大体、これが現場だと逆ですね。

お客様はお金がかかる可能性の高い部分は最初はあまり仰らない。

「めっちゃシンプルなものでいいんです。機能もお問い合わせフォームがあればそれでいいんです」

結構、こう言われる方多いです。

そして、制作に着手し初めて出来上がったものを見た後で「もしかしたら・・?」という淡い期待が生まれて、要求を出して制作が「キイテナイヨー」ってなることの方が多い気がします。特に個人で依頼されてくるお客様に多いです。

某CMではありませんが「早く言ってよぉぉぉ」ってやつです。

少しずつでもいいから歩み寄っていけると理想的

実は小さくてもいいからビルにしたい。

でも、今は予算がこれだけだからまずは一軒家から始めたい。

ビルへのリニューアルに向けて、手も足も動かすからなるべく成果につながるサイトを作りたい。

例えば、こんな風に先を見越した計画まで話してくれると制作者は「よっしゃ!」って思えますね。

こうして、文章にしてみるとちょっとした未来展望の共有のあるなしが、「つくる人」と「たのむ人」の良好な関係につながってくると私はつくづく感じます。

そもそもwebとは出来たら完成ではなくそこから育ててゆく、庭のようなものです。

だから、いまいまの話だけをしてしまうと結果的にとても視野が狭くなりがちな側面があります。もしかしたら、依頼者さんはそういう未来展望含めて話を聞いてくれる業者さんを探すことも大切といえるかもしれません。

最初は分からなくて、当たり前です。

分からないことは決して罪ではないのです。

問題は双方が怒りの核が不明なまま、ただなぁんとなく気まずい空気が流れたまま、なぁんとなく制作が終わってしまい、遺恨を残してしまうこと。これに尽きます。

だいたい、いつまでも喧嘩してたって仕方ない。

デザイナーだってキレたくてキレてるんじゃないやい(涙)

なら、できるところから埋めていくようこうして発信していくのは、我々制作サイドがやってみてもいいんじゃないかと思っています。

そんなわけで、リッツイはそういう観点のコンテンツをこれからちょいちょい発信して参りますので、依頼側の皆様は是非、ネットのお勉強なんかにお役立ていただけましたら幸いです!